筆者の住む町に、自動車のスクラップを扱う業者がいる。
廃車となった車を引き取り、分解し、まだ使える部品はリサイクルし、売れる金属類は売り、最後まで残るどうしようもない物はゴミとして処分するのだ。東京23区としては羨ましい程の広い敷地を所有している。
そのスクラップ置き場の片隅に、一台の中古トラックが置かれている。
記憶では筆者が小学校を卒業する少し前から置かれているので、かれこれ40年になるはずだ。
何故そこまで覚えているのかというと、そのスクラップ場と筆者の通っていた小学校とは、隣接しているのだ。
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40年前のその中古トラックは、今では懐かしい三輪トラックだ。
車名は忘れたが、幼い頃は現役で走っている姿もよく見かけたものだ。
多分、絶滅して久しいのだろう。
それはともかくとして、そのスクラップ場の中古トラックだが、初めは完全な姿で業者の元へ運び込まれていた。
それがある日、タイヤが外され、いつの間にか座席も消え、ふと気がつくと車体のみを残し、中は空洞となった。
しかし、その車体だけは消えなかった。
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空洞となった車体の中には、様々ながらくたが詰め込まれ、ある時は窓から溢れそうになり、また別のある時には見えないくらいに減っていたりした。
そのようにして歳月は流れたが、40年が経過した今日に至るまで、その中古トラックはそこに存在し続けている。
業者が何故それを残しているのかは知らない。そもそも業者がどんな方なのかも知らない。
昔は初老の業者が油に塗れた顔で働いていたのを見かけたことはあったが、今はその方は生きてはいまい。
誰かが跡を継いだに違いないが、見たことはない。ただ、今でも時々、その中古トラックは見かけるのだ。
今では三輪トラックの形状がかろうじて残るサビの固まりに過ぎないが、筆者の暮らした40年の歳月を遡り、懐かしい子供時代の思い出を感じさせてくれる、少年時代を象徴するかのような独特の存在となっている中古トラックなのだ。